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横浜地方裁判所 平成8年(わ)618号 判決 1996年9月12日

裁判所書記官

新井康雄

本店の所在地

川崎市中原区宮内三丁目二五番二号

株式会社

セブン

右代表者取締役

高岡由幸

本籍

川崎市中原区上小田中六六三番地

住居

同市中原区上小田中六五五番地五六

会社役員

高岡由幸

昭和一五年九月四日生

右の両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官松下裕子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社セブンを罰金一五〇〇万円に、被告人高岡由幸を懲役一年に処する。

被告人高岡由幸に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社セブン(以下「被告会社」という。)は、川崎市中原区宮内一一七〇番地五(平成五年二月二二日以降の住居表示同市中原区宮内三丁目二五番二号)に本店を置き、一般区域貨物自動車運送事業等を目的とする株式会社であり、被告人高岡由幸(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括している者であるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成二年四月一日から同三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五四六三万四九九三円(別紙(一)修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が一九六九万五五〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)であったにもかかわらず、同三年五月三一日、同市高津区久本二六九番地一所在の川崎北税務署において、同税務署長に対し、同事業年度における所得金額が三六八万九一一二円であり、これに対する法人税額が一〇〇万〇七〇〇円である旨を記載した内容虚偽の法人税確定申告書(平成八年押第三四二号の1)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一八六九万四八〇〇円を免れ、

第二  同年四月一日から同四年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四六九四万九九四二円(別紙(二)修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が、一六八二万二〇〇〇円(別紙(六)税額計算書参照)であったにもかかわらず、同年六月一日、同税務署において、同税務署長に対し、同事業年度における欠損金額が五五五万二二九二円もあるので、納付すべき法人税がない旨を記載した内容虚偽の法人税確定申告書(同号の2)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度にけおける法人税一六八二万二〇〇〇円全額を免れ、

第三  同年四月一日から同五年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四二三九万五二二六円(別紙(三)修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が一五一〇万二六〇〇円(別紙(七)税額計算書参照)であったにもかかわらず、同年五月三一日、同市高津区久本二丁目四番三号所在の川崎北税務署において、同税務署長に対し、同事業年度における所得金額が零で納付すべき法人税がない旨を記載した内容虚偽の法人税確定申告書(同号の3)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における法人税一五一〇万二六〇〇円全額を免れ、

第四  同年四月一日から同六年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三三三七万四九〇一円(別紙(四)修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が一一六八万九一〇〇円(別紙(八)税額計算書参照)であったにもかかわらず、同年五月三一日、同税務署において、同税務署長に対し、同事業年度における欠損金額が八九三万七〇四六円もあるので、納付すべき法人税がない旨を記載した内容虚偽の法人税確定申告書(同号の4)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における法人税一一六八万九一〇〇円全額を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(四通)及び収税官吏大蔵事務官に対する各質問てん末書(三通)

一  辻村ゆかりの検察官に対する供述調書及び収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書

一  澤邊千恵子の検察官に対する供述調書

一  尼野正一(二通)、板垣節子、田原勉、開沼恵美及び村田静江の収税官吏大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  収税官吏大蔵事務官作成の査察官報告書、運送収入調査書、傭車費(運送原価)調査書、給与手当調査書、受取利息調査書、受取配当金調査書、有価証券売買損益調査書、雑収入調査書、事業税認定損調査書及び損金の額に算入した道府県民税利子割調査書

判示第一ないし第三の各事実につき

一  高岡政子の収税官吏大蔵事務官に対する各質問てん末書(四通)

判示第一、第二、第四の各事実につき

一  収税官吏大蔵事務官作成の雑費調査書

判示第一、第二の各事実につき

一  収税官吏大蔵事務官作成の役員報酬調査書

判示第一の事実につき

一  収税官吏大蔵事務官作成の雑給(運送原価)調査書、修繕費(運送原価)調査書及び雑給調査書

一  押収してある法人税確定申告書一冊(平成八年押第三四二号の1)

判示第二、第四の各事実につき

一  収税官吏大蔵事務官作成の申告欠損調査書

判示第二の事実につき

一  押収してある法人税確定申告書一冊(平成八年押第三四二号の2)

判示第三の事実につき

一  山本福子の収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書

一  押収してある法人税確定申告書一冊(平成八年押第三四二号の3)

判示第四の事実につき

一  収税官吏大蔵事務官作成の賞与調査書

一  押収してなる法人税確定申告書一冊(平成八年押第三四二号の4)

(法令の適用)

罰条

被告会社の判示各所為につき

いずれも法人税法一五九条一項、一六四条一項

被告人の判示各所為につきいずれも法人税法一五九条一項

刑種の選択

被告人につき

いずれも懲役刑を選択

併合罪の処理

被告会社につき

刑法(平成七年法律第九一号(刑法の一部を改正する法律)附則二条一項本文による同法による改正の刑法)四五条前段、四八条二項(罰金額を合算)

被告人につき

同法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯条の最も重い判示第一の罪の刑に加重)

刑の執行猶予

被告人につき

同法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 新田誠志)

別紙(一)

修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙(四)

修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙(五)

<省略>

別紙(六)

<省略>

別紙(七)

<省略>

別紙(八)

<省略>

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